第123回日本薬学会(長崎県)大阪薬科大学発表分
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27【P1】-I-036 特異的ヒトヒスタミンH4アゴニストOUP-16 のTHP-ホモロー
グ合成 ○ 川村誠1、古田陽子1、坂本靖彦2、荒木理佐1、
春沢信哉1、栗原拓史1 (1大阪薬大、2アズウェル) 【目
的】 2000 年にヒトゲノムデータベースに基づきH4受容体が
発見された。一方、我々はH4受容体に特異的な完全アゴニス
トOUP-16 を見出したので、その構造活性相関を目的としてTHP-
ホモローグ 1 の合成について検討を行った。 【方法、結果】
L-Gln から誘導したジオール体2 をTMAD-Bu3P で処理すると、
ジアザフルベン中間体3 を経由して生成物4 を与えることが判
明した。従来、ジアザフルベン法はテトラヒドロフラン環生成
に用いられてきたが、今回の結果により6 員環合成に対しても
適用できることが明らかとなった。
27【P1】-I-188 アシタバ成分 (xanthoangelol D) の 転写因子 NF-κB 抑制作
用 ○杉井真人, 谷口雅彦, 馬場きみ江, 大喜多守, 河合優,
田原知代子, 高岡昌徳,松村靖夫 (大阪薬大) 【目的】
Xanthoangelol D (XD) はアシタバに含まれるカルコン類の一
種である。これまでに、カルコン類は抗菌作用や胃酸分泌抑制
作用など様々な生理作用を有することが報告されている。本研
究では、XDの転写因子 nuclear factor -κB (NF-κB) 抑制作
用とその機序について調べ、あわせて NF-κB により調節を受
けているエンドセリン-1 (ET-1) mRNA 発現の変化についても
検討した。 【方法】ブタ胸部大動脈の血管内皮細胞を培養し、
実験には4 - 9 継代の細胞を用いた。内皮細胞における NF-κ
B および inhibitor κB (IκB) たん白それぞれの変動につい
ては electrophoretic mobility shift assay (EMSA) および
Western blot 法を用い、ET-1 mRNA 発現については Northern
blot 法により検討した。また、 NF-κB 活性化因子として
tumor necrosis factor-α (TNF-α) を用いて実験を行った。
27【P1】-I-213 サツマイモ地上部のグリコシダーゼ阻害物質について ◯濱
寛1,玉置 麗1,坂木原千佳1,吉川和子1,在原重信1,芝野
真喜雄2,草野源次郎2,(1 徳島文理大薬,2 大阪薬大)
【目的】α-グリコシダーゼ阻害活性を有する天然物の検索の
一環としてヒルガオ科Convolvulaceae のサツマイモIpomoea
batatasに着目し活性物質の検索を行った. 【実験・結果】徳
島県下で採集したサツマイモの地上部 (13 Kg) を水抽出後,
弱酸性陽イオン交換樹脂CG50 に通導,水で洗浄後,7%アンモ
ニア水で容出し,粗塩基性画分を得た.これを逆相カラムによ
り7フラクションに粗分け後,各フラクションについてα-グ
リコシダーゼ阻害活性を行い,活性の認められたフラクション
5−7 について,さらに順相,逆相カラムで分離精製を繰り返
し行い,8 種の化合物を得た.
27【P1】-I-272 プロトベルベリン型アルカロイド類のN-メチル代謝過程での基
質特異性についての分子軌道及び分子力学法による考察 ○上
垣内みよ子1、大石文宏2、西庄重次郎1、石田寿昌2(1 神戸薬
大、2 大阪薬大) 【目的】プロトベルベリン型アルカロイド
類はS-Adenosylmethionine (SAM)と酵素触媒によりN-methyl
化反応を受け、次いで種々の骨格に代謝されることが明らかに
なっている。植物細胞での代謝実験から、その反応にはアルカ
ロイド類のエナンチオマーや、ジアステレオマー等の立体異性
体間での基質特異性が認められている。 この
N-methyltransferase が示した基質特異性を構造化学的に解明
する目的で酵素の活性部位での基質との相互作用について立体
構造化学的な検討を加えた。
27【P1】-I-273 De-N-hydrobenzophenanthridines の立体構造及びその細胞接
着阻害活性 ○野田有子1、上垣内みよ子1、西庄重次郎1、尹康
子2、友尾幸司2、石田寿昌2 (1 神戸薬大、2 大阪薬大)【目
的】演者らはイソキノリン型化合物類を中心に抗炎症剤または
抗アレルギ− 剤としての潜在能力の評価を目的として、細胞
接着に対する作用を検討している。今回接着阻害活性を示した
イソキノリン型アルカロイドの誘導体de-N-corynoline(1)と
de-N-chelidonine(2)について立体構造とその阻害活性につい
て調べた結果について報告する。 【実験】(dl)-1 および(d)
-2 についてNMR-スペクトル解析およびX−線結晶構造解析を
行った。これらのヒト末梢血由来多形核白血球とヒト臍帯静脈
内皮細胞の接着に対する作用を調べた。
27【P1】-I-281 ヒドロキソ架橋とピラゾール架橋を有する白金(II)二核錯体の
酸性溶液中での挙動 佐藤卓史、○植田聡一、箕浦克彦、藤田
泰子、齊藤睦弘、千熊正彦(大阪薬大) 【目的】演者らは、シ
スプラチン耐性細胞にも有効である白金(II)二核錯体[{cis-Pt
(NH3)2}2(μ-OH)(μ-pz)](NO3)2(complex I)を開発した。
complex I は細胞内でヒドロキソ架橋が開裂し、DNA と結合す
ることにより活性を示すと考えられる。 そこで、種々の溶液
条件でその開裂反応の解析を行ってきたが、塩酸酸性下におい
て最終的にヒドロキソ架橋が開裂しCl. が置換することをX 線
構造解析により確認した。さらにHPLC 及び紫外吸収スペクト
ルの変化からその反応の速度論的解析を行ってきた。今回は、
1H-NMR を用いてヒドロキソ架橋の開裂反応について解析を行
い、HPLC 及び紫外吸収スペクトル変化による結果と比較した。
27【P1】-I-282 制癌活性を有するシスプラチン関連白金(II)二核錯体の性質:
配位結合を伴わない核酸との相互作用佐藤卓史、 ○和田幸恵、
齊藤睦弘、千熊正彦(大阪薬大) 3)2}2(μ-OH)(μ-pz)](NO3)
2(Complex I ) 【緒言】演者らは先に開発した[{cis-Pt(II)(NH
とDNA との結合様式の解析を試みてきた。その過程で、Complex
I は反応初期においてDNA と配位結合を伴わない相互作用を示
すことを明らかにし、その相互作用についてDNAの融解温
度、粘度、沈殿形成、CDスペクトルなどの方法を用いて検討
を行ったところ、Complex I はDNAの高次構造の変化を起こ
し、その変化は静電的な力を介して起こっている可能性が示唆
された。 そこで今回、この相互作用について、さらにDNA
に対する結合数や結合定数を検討するために平衡透析法による
解析を行った。
27【P1】-II-107 DNA トポイソメラーゼII 阻害剤の設計と合成 ○松本洋亘1,
飯田彰1, 富岡清1, 和田俊一2(1 京大院薬, 2 大阪薬大)
【目的】ヌクレオシドは生命を維持するプロセスにおける基本
単位であり、その誘導体には抗ウイルス活性や抗腫瘍活性など
広範な生物活性が期待できる。我々は抗腫瘍活性化合物に関す
る研究の一環として、DNA トポイソメラーゼ阻害剤の探索なら
びに設計と合成を行っている。 昨年度は、新しいタイプのDNA
トポイソメラーゼII 阻害剤開発を目論み、カテコール構造を
組み込んだヌクレオシド1 を設計するに至った経緯とその合成
ルートについて報告した。今回、構造活性相関を明らかにすべ
く、ヌクレオシド1 やその合成中間体ならびに関連化合物のト
ポイソメラーゼII 阻害活性を評価した。
27【P1】-II-110 加水分解速度からみたRNA のホモキラリティーの起源に関する
考察 ○浦田秀仁、森田浩世、小川陽子、光田梢、赤木昌夫(大
阪薬大) 【目的】RNA ワールド仮説はRNA が生命の前駆物質
であったとするもので、RNA 酵素であるリボザイムの発見以来
多くの支持を得てきた。しかし、RNA の化学進化の過程にはな
お多くの疑問が残されている。その一つがRNA のホモキラリ
ティーの起源の問題で、原始地球上で非生物的に合成されたヌ
クレオチドはラセミ体であったと考えられる。 このようなラ
セミ体モノヌクレオチドが重合して生成するRNA はD 型および
L 型双方のヌクレオチドを含むヘテロキラルなRNA であったと
考えられ、RNA のホモキラリティーの確立は生物学における大
きな疑問の一つとなっている。
27【P1】-II-139 EB照射日本茶における品質評価の試み ○小倉真由美1,福
田裕子1,木村捷二郎1,西本進2,野坂和世2,小田美光3
(1大阪薬大,2日本電子照射サービス梶C3大阪府公衛研)
【目的】微生物殺滅法の1つである放射線法は、室温下で非破
壊的連続処理が可能であり、原料に付着する有害微生物制御へ
の利用が期待されている。本発表では日本茶を原料とし、umu
テストを用いて、電子線(以下、EB)照射処理原料における
変異原性の変化の有無、さらにESR 法を用いてラジカルの検知
を試みた。 【方法】微生物試験;第14 改正日本薬局方収載
「生薬の微生物限度試験法」。芽胞形成菌の同定;越川の方法
1)。EB照射;日本電子照射サービス滑ヨ西センターで4.8MeV
EB 照射。変異原性試験;小田の方法2)。ESR 測定;日機装
製ES-10 型電子スピン共鳴装置を使用。
27【P1】-II-140 放射線法によるオウバク配合製剤の殺菌と製剤特性の変化 ○
宇野哲1,木村捷二郎1,西本進2,野坂和世2,林佐江子3(1
大阪薬大,2JISCO-EB 関西センター,3 三光丸本店) 【目的】
電子線照射によるオウバク配合製剤に付着する微生物の殺菌効
果と、殺菌線量下における物理化学的特性の変化、得られる付
加価値の発現機構について検討した。 【方法】試料および電
子線照射;市販の健胃丸剤および粉末状オウバク、結合剤(米
粉および寒梅粉)に0〜100kGy に相当する線量の電子線照射を
行った。殺滅効果;日局収載の生薬の微生物限度試験法に準じ
て生菌数測定し、線量に対する生残曲線を作成した。崩壊試験
;日局収載の崩壊試験法に準じて測定を行った。含有多糖類の
分子量分析;HPLC 法によるGPC 分析により測定した。
27【P1】-II-181 白亮独活( Heracleum candicans ) の成分研究(その2) 谷
口雅彦1、○中森輝恵1、馬場きみ江1、王年鶴2 (1大阪
薬大、2中国江蘇省植物研) 【目的】先に我々はHeracleum
candicans WALL.の根について検討を行い、14 種の既知クマリ
ン類、1 種のポリアセチレンおよび2 種のスピロ型フラノクマ
リン二量体を単離し、報告した*。今回、引き続き本植物の成
分検討を行ったので報告する。 【実験及び結果】中国雲南省
鶴慶県で採取されたH. candicansの乾燥根をアセトンで室温抽
出し、得られたエキスについて、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー、プレパラティブTLCを用いて分離、精製し、新た
に2 種のスピロ型フラノクマリン二量体、1 種のフェニルプロ
パノイド誘導体および2 種のクマリン類を単離した。これら2
種のスピロ型フラノクマリン二量体はPleurospermum
rivulorum より単離されたRivulobirin F, G のNMR スペクト
ルデータとそれぞれ一致した。現在それらの絶対構造を検討中
である。 日本生薬学会第49 回年会, 講演要旨集2 118 頁(
福岡, 2002 )
27【P1】-II-246 新規白金(II)二核錯体のシスプラチン耐性細胞に対する作用
○佐藤卓史,池田恭子,青木典子,塚本加奈,齊藤睦弘,千熊
正彦(大阪薬大) 【緒言】シスプラチンは極めて有効な制が
ん剤として臨床において広く用いられている.しかし,近年,
シスプラチンに対する耐性がんの発現が大きな問題となってお
り,シスプラチン耐性がんにも有効な新たな制がん剤の開発が
切望されている. 先に,我々は二原子の白金が水酸化物イオ
ンとピラゾールあるいは水酸化物イオンと4-メチルピラゾール
によって架橋された構造を有する2 種の白金(II) 二核錯体を
合成し,これら錯体がシスプラチン耐性がん細胞にも有効であ
ることを見出した.今回はシスプラチン耐性細胞に対する作用
を感受性細胞と比較した.
27【P2】-I-321 新規シグマアゴニストo-BON によるアポトーシス誘発機構の基
礎的検討 ○安部毅、金井泰和、平田雅彦、大桃善朗(大阪薬
大) 【目的】シグマレセプター(σ-R)は、神経伝達物質の放
出の調節、細胞の分化や増殖の調節など様々な生理機能に関与
している。近年、種々の癌細胞におけるσ-R の過剰な発現が
確認されており、癌治療の新たな標的として注目されている。
演者らは、優れた放射性σ-agonist であるo-BON を開発し、
o-BON による癌細胞成長抑制作用を確認してきた。 本研究で
は、o-BON 癌細胞成長抑制作用がアポトーシス誘発によるもの
と考え、その作用機構についてA-375 癌細胞を用いて基礎的検
討をおこなった。
27【P2】-I-322 新規SPECT 用シグマリガンドo-BON の癌診断薬剤としての評価
○金井泰和、安部毅、平田雅彦、大桃善朗(大阪薬大) 【目
的】シグマレセプター(σ-R)は種々の脳神経疾患との関連が指
摘されており中枢神経等広範囲に分布している。さらに、多く
の癌細胞にσ-R の過剰な発現が確認されており、癌診断の新
たな標的として注目されている。我々は、σ-R に高い親和性
と選択性を有する新規SPECT 用画像診断薬剤[125I] o-BON の
開発に成功した。今回、in vitro及びin vivoにおいてo-BON
による癌診断の可能性を評価した。 【方法】In vitroでの検
討では、σ-R の過剰な発現が確認されているA-375 癌細胞で、
o-BON の経時的な取り込み量を測定した。次に、常法に従い
A-375 癌細胞の粗P2 分画を調製し、種々のレセプターリガン
ドを用いてσ-R に対する結合特異性の検討、並びにbinding
assay を行い、o-BON のBmax 値を求めた。
27【P2】-I-323 p38 MAP Kinase 活性診断薬剤による癌診断の可能性に関する
基礎的検討 ○藤村重顕平田雅彦大桃善朗(大阪薬大) 【目
的】p38 Mitogen activated protein kinase ( p38 )は、アポ
トーシスやサイトカイン産生など、体内での様々な生命現象に
深く関わる細胞内シグナル伝達酵素である。一方、癌におい
て、p38 は細胞増殖、浸潤や転移時にその活性化が必須である
ことが確認されている。 従って、p38 活性診断薬剤の開発は、
癌の悪性度や転移能を診断可能な薬剤になりうることが期待さ
れる。そこで我々は、p38 活性診断用新規放射性ヨウ素標識化
合物の開発を計画した。
27【P2】-I-372 セラミドとリン酸アナログによるB. cereus 菌由来スフィンゴ
ミエリナーゼの阻害 ○ 森田倫生1,藤井忍1,塚本喜久雄2,
池澤宏郎2,池田潔1 ( 1大阪薬大,2名市大薬) 【目的】ス
フィンゴミエリナーゼ(SMase)は,スフィンゴミエリンのリ
ン酸エステル結合を加水分解し,セラミド(Cer)を生成する
酵素である. ATPase はSMase と同様に,リン酸エステル結合
を加水分解する酵素であり,その生成物であるADP とリン酸ア
ナログが共存すると,遷移状態様複合体を形成する.本研究で
は,SMase の作用に及ぼすCer とリン酸アナログの影響につい
て調べた. X は, AlCl3 とNaF 溶 【方法】酵素活性は,ミ
セル状2-hexadecanoylamino-4-nitrophenylphosphocholine
(HNP)を基質とし, Mg2+ 存在下,37℃で測定した.
27【P2】-I-373 Zn2+ によるB. cereus 菌由来スフィンゴミエリナーゼの活性
化 ○藤井忍1,伊藤礼美1,吉田亜由美1,塚本喜久雄2,池澤
宏郎2,池田潔1 (1 大阪薬大,2 名市大薬) 【目的】
Bacillus cereus 菌由来スフィンゴミエリナーゼ(SMase)に
よるスフィンゴミエリンの加水分解は,Mg2+,Mn2+,および
Co2+ によって促進されるが,Zn2+ の存在下では強く抑制され
ることが知られている.そこで今回,本酵素の活性に及ぼす
種々の金属イオン濃度の影響を詳細に調べた. 【方法】酵素
活性は,ミセル状
2-hexadecanoylamino-4-nitrophenylphosphocholine (HNP)
を基質とし,種々の金属イオンの存在下,37℃で測定した.
27【P2】-I-374 Bacillus cereus スフィンゴミエリナーゼの触媒残基His151
の機能解析 ○小浜孝士1、藤井忍2、池田潔2、池澤宏郎1、今
川正良1、塚本喜久雄1(名市大薬1、大阪薬大2) 【目的】
Bacillus cereus のスフィンゴミエリナーゼは、スフィンゴミ
エリンをホスホコリンとセラミドに加水分解するホスホリパー
ゼC である。本酵素の触媒反応は一般酸、塩基触媒反応によっ
て進行すると考えられている。ここで保存性His151 は、反応
中間体にproton を供与して加水分解反応を終了させる酸とし
ての役割を担うと予想される。そこでHis151 に部位特異的変
異を導入し機能の解析を行った。 【実験方法】His151 の部位
特異的変異遺伝子をE. coli に導入して発現させた。血液寒天
培地を用いた溶血活性と、菌体抽出液を用いた基質分解活性を
測定した。活性が残存した変異酵素を精製して、詳細な酵素化
学的性質の解析を行った。
27【P2】-I-445 Na+存在下、非存在下におけるcimicifugoside のnucleoside
transport 阻害作用 ○植村景子1,草野源次郎2,草野明子2,
山口光峰1,伊藤順子3,知久馬敏幸1, 北條博史1(1 昭和薬
大,2 大阪薬大,3 相模女大) 【目的】これまで、トリテル
ペン化合物cimicifugoside (Cim) がnucleoside の細胞内への
取り込みを阻害することを報告してきた。Nucleoside
transporter は数種知られ、これらはNa+非依存的なENT family
とNa+依存的なCNT family に分けられている。本研究ではNa+
存在下および非存在下におけるCim のnucleoside transport
阻害作用を比較検討した。 【方法】マイクロチューブに入れ
たオイル上に3H 標識nucleoside(1 μCi,20 μ M)を重層し、
これにあらかじめCim と30 分間共培養した細胞を加え、120
秒間3H-nucleoside を細胞へ取り込ませた。反応の停止には、
高濃度ヌクレオシド溶液を添加し、遠心して細胞をオイル層下
に沈めた。洗浄、可溶化後、放射能を液体シンチレーションカ
ウンターにより測定した。
27【P2】-I-550 DOCA 食塩高血圧ラットの腎機能に対する新規Na+/Ca2+交換輸
送体阻害薬SEA0400 の作用 ○喜多紗斗美1、岩本隆宏1、山岨
弘1,2、重川宗一1、松村靖夫2、高橋禎介3、吉田茂3、奥山茂
3(国立循環器病センター研1、大阪薬大2、大正製薬3) 【目
的】最近、我々は1 型Na+/Ca2+交換輸送体(NCX1)遺伝子改変
マウスやNCX 阻害薬を用いた検討により、NCX1 が高血圧の発
症・進展に関与している可能性を見出している。今回、松田・
馬場ら(阪大薬)と大正製薬の共同研究で開発された選択的NCX
阻害薬SEA0400 (SEA)のdeoxycorticosterone acetate (DOCA)
食塩高血圧ラットの腎血流量および腎機能に及ぼす影響につい
て検討した。 【方法】DOCA 食塩高血圧ラットは右腎摘出1 週
間後からDOCA (15mg/kg s.c.、週2 回)および1%食塩水を3 か
ら4 週間与えることにより作製した。ラットをイナクチン麻酔
し、定法に従って平均血圧(MAP)、腎血流量(RBF)、腎血管
抵抗(RVR)、糸球体濾過量(GFR)および尿量(UF)を測定し
た。薬物は静脈内もしくは腎動脈内投与した。
27【P2】-I-618 高血圧治療薬のPK-PD に及ぼす血圧調節機構の影響(2) ○三宅
久美子1 ,宮崎誠1 ,岩永一範1 ,佐藤眞治2 ,渡辺賢一2 ,
掛見正郎1 (1 大阪薬大,2 新潟薬大) 【目的】α,β受容
体遮断薬であるカルベジロール(CVL)は,主としてβ遮断に
よる心拍出量の低下とα遮断による末梢血管拡張によって血圧
を降下させる.一方プラゾシン(PRA)はα1 遮断薬であり,
心抑制作用を伴わずに末梢血管拡張作用が得られる. 先の日
本医療薬学会年会で私たちは,自然発症高血圧ラット(SHR)
とWKY を用い,両者にCVL とPRA を投与した際の血圧調節機構
に差が見られることを報告した.今回は, 薬物の血圧降下作
用に影響する交感神経系のフィードバック調節機構について検
討するともに,PRA 投与後のPK-PD 解析についてさらに詳細な
検討を行った.
27【P2】-I-621 心不全モデルラットにおけるカルベジロールのPK/PD と心不全
憎悪との関連性 ○佐藤眞治1、阿部祐一1、馬梅蕾1、渡辺
賢一1、三宅久美子2、宮崎誠2、掛見正郎2(1新潟薬大、
2大阪薬大) 【目的】カルベジロール(CVL)は血管拡張作用
を有するβ遮断薬であり、慢性心不全患者の治療に対して有効
である。高血圧治療薬の使用時に、急激な血圧低下に伴う頻脈
が発現する場合がある。この頻脈は交感神経系の賦活によるノ
ルエピネフリン(NE)の遊離によって引き起こされると考えら
れている。 過剰に放出されたNE は、心筋細胞の肥大や心筋症
を誘発することが知られており、心不全病態の憎悪に深く関与
する可能性がある。心不全モデルラットを用いた検討におい
て、低用量CVL は心機能を改善するが、高用量の場合その改善
効果が減弱することを報告した1)。
27【P2】-I-631 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の
Pharmacokinetics/Pharmacodynamics(II) ○西堀敦,宮崎
誠,岩永一範,掛見正郎(大阪薬大) 【目的】ANP は強いNa
利尿作用や血管弛緩作用などを有し,循環器疾患の治療薬とし
て用いられている.また,これらの作用はグアニル酸シクラー
ゼの活性化によるcGMP 量の増加によることが知られている.
これまでに,ANP の体内動態や薬理効果についての研究はなさ
れているが,cGMP と薬理効果を薬物動態と同時に捉えた報告
は少ない. そこで,本研究は高血圧モデル動物である
DOCA-salt ラットを用いてヒトANP(hANP)を投与したときの
薬理効果である降圧効果およびNa 利尿効果とcGMP の関係につ
いてメカニズムに基いたPK-PD 解析(Mechanism Based PK-PD
Analysis)を行った.
27【P2】-II-476 薬用植物の137Cs の取り込み 〇山沖留美,岡田美幸,木村捷二
郎(大阪薬大) 【目的】漢方生薬の内、野生種を採取し利用
する生薬では、同じ種であっても植物中の137Cs 濃度が大きく
変動する場合がある。演者らはこれまでに、国内で採取した野
生ドクダミの含有137Cs 濃度と土壌中の137Cs および40K 濃度
や土壌特性(有機物含有量、pH)との関係を測定報告してき
た。今回、引き続き、ドクダミ中の無機元素量やフラボノイド
配糖体含量との比較検討を行った。 【方法】試料:東北、近
畿、中国、九州地区で採取した花期(6-8 月)の野性ドクダミ
(18 試料)と生育周辺土壌(13 試料)。試料の処理:ドクダ
ミは乾燥後、地上部と地下部に分割し、粉砕した。
27【P2】-II-526 腎虚血再灌流障害に対する17β-estradiol の改善効果とNO 産
生亢進作用について ○ 柴田裕次郎, 高岡昌徳, 松村靖夫(大
阪薬大) 【目的】最近我々は、17β-estradiol(E2-β)が虚
血再灌流による腎障害を改善することを見出した。さらに、エ
ストロゲン受容体(ER)拮抗薬であるtamoxifen(TAM) を前
処置することにより、E2-β の改善効果が消失することを認め
た。E2-β は内皮型NO 合成酵素(eNOS)を活性化することが
知られていることから、E2-βの腎機能改善効果にNO 産生亢進
が関与している可能性を考え、虚血再灌流時におけるNO 産生
に対するE2-β の効果について検討を行った。 【方法】実験
動物として、8 週齢の雄性SD 系ラットを用いた。右腎摘出2
週間後、麻酔下において左腎動静脈の血流をクリップで45 分
間遮断した後、再灌流を行い虚血性急性腎不全モデルを作製し
た。E2-β を再灌流15 分前に静脈内投与し、E2-β 投与群と
した。一方、虚血1 時間前にTAM を静脈内投与したラットをTAM
前処置群とした。対照群には、溶媒のみの投与を行った。腎臓
のNO 産生量は、NO2- / NO -(NOx)量の変動を指標として、
マイクロダイアライシス法により経時的に測定した。
27【P2】-II-558 虚血性急性腎不全に対する一酸化窒素合成酵素阻害薬の効果
〇高山淳二, 高岡昌徳, 田端佳世子, 西原舞, 松村靖夫(大阪
薬大) 【目的】腎虚血再灌流障害における一酸化窒素(NO)/NO
合成酵素(NOS) の役割を調べる目的で、本病態に対する非選択
的NOS 阻害薬Nω-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME)
および選択的誘導型NOS (iNOS) 阻害薬S-(2-aminoethyl)
isothiourea (AE-ITU) の効果について検討した。 【方法】SD
系雄性ラットの右腎摘除2 週間後、麻酔下で左腎動静脈の血流
を45 分間遮断し、虚血性急性腎不全モデルを作製した。再灌
流24 時間後に5 時間尿の摂取、採血および腎摘出を行い、各
腎機能パラメーターの測定と病理組織学的検討を行った。薬物
は1 、10 mg/kg の用量を虚血10 分前に静脈内投与し、対照群
のラットには溶媒を投与した。片腎摘除のみを施したsham ラッ
トにおいても同様の検討を行った。
27【P2】-II-559 亜鉛による培養腎上皮細胞障害へのフリーラジカルの関与 ○
松永佳子1、幸田祐佳1、吉川豊2、小嶋良種2、玄番宗一1(1 大
阪薬大・薬理、2 阪市大院理) 【目的】亜鉛は必須微量金属で
あり、生体内で重要な機能を担っている。亜鉛化合物は栄養機
能食品としても用いられている。多くの金属が腎毒性を有して
いるため、今回、培養腎上皮細胞株LLC-PK1 を用いて、塩化亜
鉛および亜鉛-ビタミンC (Zn(Vc)2)錯体による腎細胞障害性の
比較、および亜鉛による腎細胞障害へのフリーラジカルの関与
について検討した。 【方法】LLC-PK1 細胞を培養し、コンフ
ルエンスに達した後、塩化亜鉛等を培地に添加した。一定時間
後に、細胞内への亜鉛取り込み量および細胞から培地中へのLDH
遊離率を測定した。抗酸化能をO2−産生系を用いて化学発光法
により測定した。
28【P1】-I-009 ジアザフルベン中間体を用いたヒスタミンH4アゴニスト
OUP-16 の合成研究 ○ 寺嶋裕貴1,荒木理佐1,春沢信哉1,栗原
拓史1,坂本靖彦2 (1 大阪薬大,2 アズウェル) 【目的】我々は
イミフラミン(H3アゴニスト)誘導体の生理活性について検討
したところ、2000 年に発見されたヒトヒスタミンH4受容体
に特異的アゴニスト活性を示すOUP-16 を見出した。今回、こ
の改良合成を目的として、原料が入手容易な(+)-1 の合成を検
討することとした。 【方法、結果】2 をSEM 化すると異性体
3a、3b の混合物を与えた。これらを単離することなくラクトー
ル4 と反応させ、続いて脱SEM 化することでジオール体5 を得
た。5 をTMAD - Bu3P で処理したところ、ジアザフルベン中間
体6 を経てトランス-7 が主成績体となることが判明した。7
から(+) - 1 への変換について現在検討中である。
28【P1】-I-020 有機リン試薬を用いたイミフラミンの2炭素増炭ホモローグ合
成 ○小薮修持1,荒木理佐1,春沢信哉1,栗原拓史1,坂
本靖彦2 (1大阪薬大,2アズウェル) 【目的】我々は最
近、ヒスタミンH3アゴニストであるイミフラミン及びH4ア
ゴニストOUP-16 を見出した。一方、多くの医薬品ではC−C
結合の両端にヘテロ環とヘテロ原子を持つ化合物が見られるこ
とから、今回、それらの構造活性相関を検討する目的でTHF
環とイミダゾール間に2炭素増炭したホモローグ1 の合成につ
いて検討した。 【方法】アルデヒド2 とイミダゾールを持つ
Wittig 試薬を反応させ、続いて脱シリル化するとオレフィン
3 が生成した。3 の1 級アルコールをアミノ基へ変換する過程
は難行したが、3 をDess-Martin 酸化後、還元的アミノ化によ
り効率良く4 を得ることができた。現在、1 への変換を検討中
である。
28【P1】-I-143 アメフラシ由来真菌の細胞接着阻害物質の構造 ◯山田剛司,
三浦阿津子,原田和佳,小椋裕介,沼田敦(大阪薬大) 【目
的】海洋生物由来菌類の抗腫瘍性代謝産物の探索研究の一環と
して,アメフラシ由来真菌Periconia byssoides の代謝産物に
ついて検討し,抗腫瘍性物質pericosine A と細胞接着阻害を
示す数種のmacrosphelide 類を単離し,すでに報告した. 今
回,本菌代謝産物をさらに精査し, 2 種の新規化合物peribysin
E (1)及びF (2)を得,これらの化学構造の解析を行った.さら
に,これらの化合物並びにすでに単離されているperibysin A.D
(3.6)について細胞接着阻害試験を行ったので以下報告する.
28【P1】-I-158 ゴマリグナン(セサミン)の抗高血圧メカニズムについて ○
中野大介1, 伊藤千恵1, 石井史絵1, 川西秀明1, 高岡昌徳1,
木曽良信2,田中隆治2, 松村靖夫1 (1 大阪薬大, 2 サントリー
健康科学研) 【目的】当研究室ではこれまでゴマリグナンの
一種であるセサミンが抗高血圧作用を有することを報告してき
た。今回、その機序についてdeoxycorticosterone acetate
(DOCA)食塩高血圧ラットを用いて検討を行った。 【方法】
対照動物とDOCA 食塩高血圧動物をそれぞれ、1)標準飼料群、
2)0.1% セサミン含有飼料群、3)1% セサミン含有飼料群、4)
SOD mimetic(TEMPOL) 処置群、5) 3 種降圧薬(レセルピン、
ヒドロクロロチアジド、ヒドララジン)併用処置群(DOCA 食
塩負荷開始3 週間目より投与)の5 群に分け、tail cuff 法を
用いて収縮期血圧を測定した。5 週間飼育後、胸部大動脈を摘
出し、血管弛緩反応の評価とスーパーオキシド(O2-)産生の
測定を行った。
28【P1】-I-211 ポリエン系マクロライド抗生物質Chainin(1) 及びそのp-ブロ
モベンゼンスルフォナート誘導体(2) の結晶構造と共通に見ら
れる分子間相互作用 ○ 尹 康子1、大石宏文1、石田寿昌1、
五十嵐康弘2(1 大阪薬大、2 富山大工) 【目的】1 は、抗癌
剤を目的としたスクリーニングにおいて、植物花粉管の伸長を
抑制する物質を探索している中で単離、精製されたポリエンマ
クロライド抗生物質の1つである。ポリエン化合物はその繰り
返し構造ゆえに絶対配置の決定が困難な場合が多い。 そこで
1 の絶対配置を明らかにする目的で2 を用いその結晶構造を1
と共にX 線で解析した。そしてこれらの立体構造の特徴および
共通にみられる分子間相互作用について検討した。
28【P1】-I-243 長鎖左巻きZ-DNA d(CGCGCGCGCGCG)2 のX-線結晶構造解析法に
よる詳細構造 ○大石宏文1、鈴木健司2、Kazimierz
Grzeskowiak3、福山恵一4、石田寿昌1 (1 大阪薬大、2 大日
本製薬(株)、3UCLA、4 大阪大学院・理) 【目的】通常のベク
ターは円状の構造をしているがDNA の巻き数によってスーパー
コイル状態になる。DNA がスーパーコイル状態になった場合、
転写は起こらない。この場合、スーパーコイルのリラクシゼー
ションを起こし円状のベクターに戻す必要がある。この際にB-Z
およびZ-B 転移が起きていることがわかっている。 最終的に
はB-Z 混合型のDNA の構造を明らかにする予定だが、今回はこ
れまで左巻きDNA はヘキサマーまでのX-線結晶構造解析が限界
であると考えられてきたが様々な手法を用いてドデカマーの左
巻きDNA のX-線結晶解析を行うことによって更に次のステップ
へ進めると考えドデカマー左巻きDNA のX-線結晶解析を行っ
た。
28【P1】-II-158 海藻ヨレモク由来真菌の細胞毒性代謝産物の構造 ◯山口友里
子,山田剛司,岩本千佳,天形太郎,箕浦克彦,沼田敦(大阪
薬大) 【目的】海洋生物由来菌類の抗腫瘍性代謝産物の探索
研究の一環として,海藻ヨレモク由来真菌Leptosphaeria sp.
の代謝産物について検討し,これまで多くの抗腫瘍性及び細胞
毒性物質を単離し,報告した. 今回,本菌代謝産物をさらに精
査したところ, 4 種の新規細胞毒性物質leptosin U (1), V (2)
, V1 (3) 及びW (4) を得たので報告する. 【実験・結果】同
菌をペプトンを主成分とする海水培地で27℃,2 週間培養し
た. 菌体のMeOH エキスをLH-20 及びシリカゲルのカラムクロ
マト並びにHPLC (ODS)により分離を行い,化合物1.4 を単離し
た.これらの化学構造は各種スペクトルの解析により下記のよ
うに推定した.これらの化合物はP388 細胞に対し強い細胞毒
性を示した.
28【P1】-II-159 ホシアザミ(Hippobroma longiflora)のα−glucosidase 阻害
活性成分 ◯塚本大介,芝野真喜雄,高橋勉,草野源次郎(大
阪薬大) 【目的】各種グリコシダ−ゼ阻害剤は,細胞表面に
存在する糖鎖が関与する種々の生体機能解明に有用なものであ
り,またそれらの酵素に起因する疾病の治療薬として期待され
る。当研究室では,これまでにフジバカマ,コウゾ,アゼムシ
ロから,グリコシダーゼ阻害活性成分を単離してきた.今回は
,熱水抽出画分に強いα −glucosidase 阻害活性を示したホシ
アザミ(Hippobroma longiflora,キキョウ科)の活性成分の探
索を目的とした. 【方法】乾燥させたホシアザミ(Hippobroma
longiflora) の地上部(95g) をH2O-EtOH(1:1)で抽出した.そ
の抽出液を弱酸性陽イオン交換樹脂Amberlite CG-50 に通導
し,50%MeOH−28%NH4OH(9:1)で溶出を行い粗塩基性画分(1.4g)
を得た.
28【P1】-II-271 血液透析膜に対するアルベカシンの吸着性の検討 ○浦田元樹
1,2,上西幸治1,2,平田純生2,和泉智2,古久保拓2,太田美由希2,
藤田みのり2,金昌雄3,田中一彦1(1大阪薬大,2 白鷺病院薬,
3 同診療部) 【目的】血液透析(HD)による薬物除去の機構
の1 つにHD 膜への吸着がある。吸着には、薬物とHD 膜の荷電
が関係すると予測されている。そこで今回、吸着における荷電
の影響を調べることにより、リン酸加生食(PBS)、健常人血
漿中におけるHD 膜に対するアルベカシン(ABK)の吸着性につ
いて検討した。 【方法】ABK をPBS、健常人血漿に溶解し試料
とした。HD 膜は、PS 膜、PMMA 膜、PAN 膜、AN69 膜を用い
た。試料10 mL と5 mm 幅に裁断したHD 膜(0.0015m2) をフ
ラスコに加え、恒温槽中で攪拌しながら、反応させた。今回、
試料、HD 膜ともに実際に使用する膜面積、細胞外液量の1/1000
になるように実験系を作成した。
28【P1】-II-292 硝酸剤の舌下服用に関する患者の理解度調査 ○高橋宏幸1,鈴
木由加1,片岡絵里子1,大谷恵子1,濱崎美佳1,田口真里1,角井義
昌1,河原林進一郎1(1 大阪薬大薬) 【目的】硝酸剤は古くか
らある薬剤であるが、使い方を誤ると疾患の増悪を招き、急性
心筋梗塞の発症へと進展する可能性がある。一般に、心筋梗塞
発症後3 時間以内に病院に搬送されれば、初期の集中治療によ
り救命されると言われており、狭心症の発作であるか心筋梗塞
発症であるかの判断は早ければ早いほどよい。そこで今回、本
剤の患者指導書を作成し、これを用いて服薬説明を行ない、患
者の理解度を調査したところ、良好な理解度が得られたので、
その説明内容と調査結果を報告する。 【方法】平成14 年6 月
1 日〜6 月30 日の間に来局し、硝酸剤を処方された患者に対
し、本剤の使用に関する理解度を質問票を用いて調査した。
28【P1】-II-295 関節リウマチ患者に対するトータルケアの取り組み ○ 濱崎美
佳1,鈴木由加1, 片岡絵里子1, 大谷恵子1, 高橋宏幸1,田口真
里1, 角井義昌1,河原林進一郎1(1 大阪薬大薬) 【目的】近
年、関節リウマチの薬物療法の進歩にともないRA患者のQO
LやA DLは改善したと言われているが、コンプライアンス
良好であるにもかかわらず進行性の関節破壊を認める症例も少
なくない。そこで当薬局ではトータルケアの取り組みの一環と
してRA患者に対する基礎療法の指導を行い、その内容及び結
果について検討し若干の知見を得たので報告する。 【方法】
当薬局をかかりつけ薬局としているRA患者に対して平成13
年11 月1 日より平成14 年4月30 日の間、来局毎に繰り返し
基礎療法に関する指導を行い、その実行率の変化を調査した。
28【P1】-II-299 マレイン酸フルボキサミン服用患者の薬歴に基づく服薬指導へ
の取り組み ○片岡絵里子1,鈴木由加1, 大谷恵子1, 高橋宏幸
1,濱崎美佳1,田口真里1, 角井義昌1,河原林進一郎1(1 大阪薬
大薬) 【目的】うつ病患者は,強い気分の落ち込みや不安,
焦燥,希死念慮の場合を除いて外来治療が中心となる。うつ病
の治療は休養と薬物療法および一般心理療法であり,薬物療法
の果たす役割は大きい。今回,マレイン酸フルボキサミンの服
用状況を調査し,その効果,副作用に関する知見と,コンプラ
イアンスの低下原因に基づいて,うつ病の患者に対する服薬指
導の内容を検討したので報告する。 【方法】平成11 年11 月
〜平成13 年5 月までに,初めてマレイン酸フルボキサミンが
処方され,当薬局において6ヶ月間継続して服薬指導を行なっ
た患者を対象に服用状況,副作用発現状況,服用1ヶ月後と
6ヶ月後のコンプライアンスの低下原因を調査した。
28【P2】-I-323 NO によるET-1 産生制御に対する転写因子NF-κB の関与 ○
河合優、大喜多守、芝幸子、高岡昌徳、松村靖夫(大阪薬大)
【目的】当研究室では、ラットの虚血性急性腎不全モデルにお
いて、自発性一酸化窒素(NO) 放出薬であるFK409 が腎機能障
害および腎組織障害を著明に改善することを報告している。ま
たFK409 は培養血管内皮細胞からのエンドセリンー1 (ET-1)
産生を抑制し、NO 合成酵素阻害薬のニトロアルギニン(NOARG)
はET-1 遊離を亢進させるという知見も得られており、NO によ
るET-1 産生制御機構の存在が示唆された。そこで今回、NO に
よるET-1 産生制御機構について、nuclear factor-κB (NF-κ
B) との関連性から検討を行った。 【方法】実験にはブタ胸部
大動脈内皮細胞(PAECs) を用いて、非刺激時およびtumor
necrosis factor-α (TNF-α) 刺激時について検討した。ET-1
タンパクは、培地中に遊離したET-1 をラジオイムノアッセイ
法により定量を行った。さらにprepro ET-1 mRNA 発現につい
てはノーザンブロット解析により検討した。NF-κB 活性およ
びNF-κB の制御因子、inhibitor κBα (IκBα) タンパクの
変動は、それぞれゲルシフトアッセイおよびウエスタンブロッ
ト法により検討した。
28【P2】-I-347 プロリルエンドペプチダーゼの生理的役割−神経芽細胞腫NB-1
の増殖および分化への関与− ○中井修平1,中村祐佳里1,
伊達友美1,辻実子1,原田勇一1,坂口実1, 松村瑛子1,
芳本忠2(1大阪薬大,2長崎大医歯薬) 【1)第49 回日本
薬学会近畿支部総会・大会要旨集p.66(1999) 目的】プロリル
エンドペプチダーゼ(PEP)は,ペプチド中のプロリンに特異的
に作用してそのカルボキシル側を切断する酵素であり生物界に
広く分布している。 その生理的役割については,脳内PEP の記
憶への関与,肝細胞の増殖やニクバエ成虫原基の分化への関与
などが報告されているが,その作用機序は解明されていない。
我々は,PEP 阻害剤であるZ-thiopro-thioprolinal (Z-TTal)
が神経芽細胞腫(NB-1)の増殖を抑制することを報告した1)。
今回,さらにNB-1 細胞のDNA 合成, 細胞周期および分化に及
ぼすZ-TTal の影響を検討した。
28【P2】-I-376 ヘパリン-セレノシスタミンconjugate 中のセレンの化学的性
質 ○津田翼、佐藤卓史、齊藤睦弘、千熊正彦(大阪薬大)
【目的】必須微量元素であるセレンの生物活性を考えるうえ
で、セレノ. ル基は極めて重要な化学形である。我々は、分子
内に複数のセレノ. ル基を有するセレノプロテインP が生体内
のヘパリン様構造に結合した状態を表すモデル化合物の一つと
してヘパリン-セレノシスタミンconjugate(Hep-SeCyst)を合
成し、その特性について検討してきた。 今回は、conjugate
中のセレンの特性をより明確にするため、DTNB との反応性、
DPPH ラジカル消去活性、およびDPPH ラジカルによる細胞障害
に対する防護効果についてセレンを含まないヘパリン-シスタ
ミンconjugate(HepCyst)と比較検討した。
28【P2】-I-387 ダイオキシン類の分解と無毒化に関する基礎研究:Fe3+-H2O2
混合試薬による2,7-DCDD の分解メカニズムについて(その2)
三野芳紀、○中武祐子,芝野真喜雄(大阪薬大) 【目的】我々
は既に,Fe3+-H2O2 混合試薬(約70℃)を用いる安価で効率の高
いダイオキシン分解法を報告している。この方法は、環境への
2次影響もほとんどないため、実用的な浄化法として有望視さ
れている。今回は、このFe3+-H2O2 混合試薬による2,7-DCDD
の分解を、塩化物イオンをモニターすることで確認するととも
にその分解メカニズムについても検討した。 【方法】
2,7-dichlorodibenzo- p-dioxin(DCDD)からの塩化物イオンの
遊離:DCDD 500μg を含有する水100mL にFe3+-H2O2 混合試薬
(27℃)を加え、指定時間反応させた。その溶液をNaOH で塩基
性に調整した後、一晩放置し(測定を妨害するFe3+とH2O2 の除
去)、さらに遠心分離で得た上清を10mL に濃縮した。その溶液
の塩化物イオン濃度をイオンメーター(堀場F-23)で測定した。
28【P2】-II-468 Staphylococcus enterotoxin A(SEA)を認識するモノクローナ
ル抗体の作製と免疫学的測定システムの開発 ○佐々木孝則1,
寺野由剛1, 柴田忠良2, 川本尋義3, 神山恵理奈3, 葛口剛3,
渡部俊弘4 , 玄番宗一1 (1 大阪薬大, 2 大阪府公衛研, 3 岐
阜生産技研, 4 東京農大) 【目的】黄色ブドウ球菌による食中
毒の原因となる腸管毒素(SE)は、催吐活性およびスーパー抗
原性を有する分子量3 万弱のタンパク質で、プロテアーゼ消
化、および100℃・30 分の加熱によっても失活しない。今回、
SE ファミリーの1つであり、その食中毒の大半を占めるとさ
れるSEA の免疫学的測定系を構築するため、SEA に対する特異
抗体産生細胞株を樹立し、Sandwich ELISA の構築を試みた。
【方法】精製SEA(TOX 社製)でBALB/c mice(♀,5 週齢)を免疫
し、血清抗体価の上昇を確認後、PEG1500 を用いて感作脾臓細
胞と親細胞(P3U1)との細胞融合を実施し、HAT selection、
recloning によりモノクローナルな細胞株を樹立した。その
後、細胞株をマウス腹腔内に移植し、得られた腹水から硫安塩
析・ゲルろ過・affinity chromatography により抗体を精製し、
ELISA により他のSE ファミリーとの交叉反応性を検討した。
次いで、抗体をビオチン化してSandwich ELISA SEA SEA
28【P2】-II-480 GC-FPD 法による母乳中の有機スズ化合物の定量 ○三野芳紀1、
楠木希実子1、芝野真喜雄1、天野富美夫1、吉岡保2 (1 大阪
薬大、2 倉敷成人病セ) 【目的】トリブチルスズ(TBT)、ジ
ブチルスズ(DBT)、モノブチルスズ(MBT)、トリフェニルス
ズ(TPT)などの有機スズ化合物は、農薬、船底塗料およびプ
ラスチック安定剤などに広く用いられてきた。 特に船底塗料、
魚網防腐剤として用いられたTBT は、内分泌撹乱作用を有し、
魚介類に対する汚染も進んでいることから、ヒトに対する悪影
響が懸念されている。一方、母乳では脂溶性物質が濃縮されや
すく、母乳経由での乳児への影響が特に危惧される。そこで
我々は、母乳における有機スズ汚染の有無を調べるために、
GC-FPD 法による定量を行った。
29【P1】-I-060 Pericosine A の全合成の検討 ○宇佐美吉英、上田恭子、沼田
敦(大阪薬大) [目的] アメフラシ由来真菌Periconia byssoides
からすでに単離したpericosine A (1) 1) の立体選択的全合成
について検討した。 [実験および結果] キナ酸から既知の方法
で誘導したシリルエノールエーテル(2) を出発物質として以
下のスキームに従ってβ.ヒドロキシケトン(8)へと導いた。現
在、8の脱水によるエノン(9)の合成について検討中である。
29【P1】-I-116 コバンノキ樹皮より単離したトリテルペノイド類のDNA トポイ
ソメラーゼ阻害活性 ◯和田俊一1,田中麗子1,飯田彰2(1大
阪薬大,2京大薬) 【目的】DNA トポイソメラーゼ(Topo) I
及びII は,DNA の複製,転写,組換え等の遺伝子機能発現の
ために必要な高次構造の維持や変換に重要な役割を担っている
酵素の1 つである. ( 物コバンノキ抗がん活性化合物のスク
リーニングとしてPhyllanthus flexuosus) 樹皮から単離した
トリテルペノイド類Topo 阻害活性を用い,トウダイグサ科植
1) について本活性を検討した. 【方法】酵素反応の基質とな
るplasmid pBR322 DNA にトリテルペノイド存在下,Topo を加
え37 ℃,30 分反応後,アガロースゲル電気泳動で解析した.
被検化合物としてはolean-12-en-3・,15・-diol (1),
olean-12-en-3・,24-diol (2), olean-12-en-3・,15・
,24-triol (3), lupeol (4), lup-20(29)-en-3・,24-diol (5)
, betulin (6) について検討した.
29【P1】-I-117 新規Serratane型トリテルペンのがん予防作用 ○石川陽平1
田中麗子1 松永春洋1 徳田春邦2 西野輔翼2 (1大阪薬大、
2京都府立医大) 【目的】エゾマツ樹皮から新たに新規トリテ
ルペン、3β-methoxyserrt-13-en-21β -ol (1) と13β,14β
-epoxy-3β-methoxyserrtan-21β-ol (2) を単離し、各種スペ
クトルにより構造を確定した。一方、13α,14α-epoxy-3β
-methoxyserrtan-21β-ol (3) が強いin vivo発がんプロモー
ション抑制活性を持つことは既に報告している。今回は (1),
(2) について同様のアッセイを行った。 【方法および結果】
化合物 (1),(2) について発がんプロモーターであるTPAによる
Epstein-Barr-Virusの初期抗原の活性を抑制する効力を一次ス
クリーニングとして用いた。さらにイニシエーターにDMBA,プ
ロモーターにTPAを用いて週2回、20週間塗布を行い、パピロー
マの発生したマウスの割合とマウス1匹あたり発生したパピロー
マ数を陽性コントロール群と比較した。
29【P1】-I-118 多苞藁本( Ligusticum involucratum)の成分研究(その2)
谷口雅彦1、○奥野綾子1、馬場きみ江1、王年鶴2 (1大
阪薬大、2中国江蘇省植物研) 【目的】セリ科植物である
Ligusticum involucratum FRANCH.は、中国雲南省・四川省の
海抜2800〜4000mに自生する多年草である。先に我々は本植物
について検討を行い、6種のクマリン、1種のフェニルプロパ
ノイド及び1種の新規セスキテルペノイド(1)を単離、報告
した[1]。今回さらに詳細な成分検討を行ったので報告す
る。 【実験・結果】中国雲南省鶴慶県で採取された
L.involucratum の根の酢酸エチルエキスを、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーを用いて精製し、新たにクマリンの
Bergapten, Psoralen とポリアセチレンのFalcarindiol 、フ
タリドのLigustilide を単離、同定した。またこれらの他、新
規セスキテルペノイドを含む数種の化合物を単離しているが、
それらの構造については現在検討中である。[1]日本生薬学
会第49 回年会,講演要旨集2 p.116(福岡,2002)
29【P1】-I-154 tau タンパク質に存在する微小管結合ドメイン内フラグメント
の溶液構造解析 ○箕浦克彦1, 友尾幸司1, 石田寿昌1, 佐々木
将博2, 谷口泰造2,3(1 大阪薬大, 2 行動医科学研, 3 神戸大
バイオシグナル研) [目的]アルツハイマー病患者の脳内に
は、tau タンパク質の自己凝集によって形成されるPHF(Paired
Helical Filaments) がみられる。この自己凝集には、類似の
アミノ酸配列が4回繰り返された部分(Microtubule Binding
Domain: MBD)が関与していると考えられている。 通常水溶性
のランダム構造を取るtau 蛋白質は、PHF 形成時には不溶性の
フィラメント構造に変化するが、その構造変化の詳細は不明で
ある。我々はPHF 生成に関する知見を得るために、CD, NMR ス
ペクトル並びにシュミレーテッド・アニーリング法を用い、MBD
の各フラグメントの溶液中での立体構造解析を行っている1)。
29【P1】-I-156 Tau 蛋白質のPHF 形成機構の解明 ◯友尾幸司1、姚 天明1、
平岡周子1、石光ひとみ1、時政真理1、澄田美保2、佐々木将博
2、谷口泰造2,3、石田寿昌1 (1 大阪薬大、2 行動医科学研、
3 神戸大バイオシグナル研) 【目的】アルツハイマー病患者の
脳内の病理学的特徴としては、神経細胞死とPHF(Paired
Helical Filaments)と呼ばれる不溶性線維の蓄積が挙げられ
る。通常、Tau 蛋白質は、神経細胞で軸策輸送などの役割を有
する微小管の伸長を促進する等の重要な機能を持つ。 しかし、
一方でTau 蛋白質の異常なリン酸化が自己重合を引き起こし、
その結果PHF を形成することが知られているが、この機構につ
いては未だ明らかではない。 本研究では、タウ蛋白質の機能
発現領域である微小管結合ドメイン(MBD)に着目し、タウ蛋白
質のPHF 形成能についての解析を行うことにより、痴呆症発症
機構を解明することを目的とする。
29【P1】-I-157 蛋白質生合成開始因子4E と4E 結合蛋白質との相互作用研究
○松下泰昇、友尾幸司、石田寿昌(大阪薬大) 【目的】蛋白
質生合成開始因子の一つであるeIF4E は、mRNA の5,末端に存
在するキャップ構造を認識してリボソーム上での蛋白質合成を
開始させる重要な機能を有している。このeIF4E の機能発現
は、3 種類の内因性eIF4E 結合蛋白質(4EBP) によって制御さ
れているが、これらアイソザイムの働きの違いは未だに明らか
ではない。 本研究は、4EBP によるeIF4E 制御機構及び4EBP
アイソザイムの機能的差異を解明することを目的として、3 種
の4EBP とeIF4E の相互作用解析を行った。
29【P1】-I-159 環状ペプチドAscidiacyclamide 誘導体の溶液中でのコンホメー
ション解析IV - L-Ile をL-Ala, L-Val, Aib に置換した誘導
体のコンホメーション- ○加藤貴子1, 杉浦眞喜子1, 伊藤允好
1, 土井光暢2, 浅野晶子2, 山本大助3 (1 神戸薬大,2 大阪
薬大,3 大阪医大) 【目的】Ascidiacyclamide (I) 及びその
類縁環状ペプチドは,強い抗腫瘍活性・殺細胞活性を有するも
のが多く,その立体構造と活性の相関については興味が持たれ
ている。これらは,構造のC2 対称性と関連してそのコンホメー
ションがType I (Square 型) あるいはType III (Folded 型)
をとることが知られている。演者らは,対称性からのずれとコ
ンホメーションの関係を調べることを目的としている。I の
L-Ile をL-Ala (II), L-Val (III), Aib (IV) に置換した3つ
の誘導体について選択的緩和法を用いて溶液中でのコンホメー
ション解析を行った。 【実験】II, III, IV のCDCl3 溶液に
ついて,1H TNS, TSNI 及び13C T1 を測定し,選択的緩和法の
常法に従って,水素間距離を得た。それらの値を束縛条件とし
て,MD 計算を行った。
29【P1】-I-166 アシジアサイクラマイド及びその誘導体のコンフォメーション
研究(4) ○浅野晶子、山田剛司、沼田敦、土井光暢(大阪薬
大) 【目的・方法】アシジアサイクラマイド(ASC)は分子内
にチアゾールアミノ酸(Thz)、オキサゾリンアミノ酸( Oxz
) を含み、分子内二回回転対称を有するcyclo
(-D-Val-Thz-L-Ile-Oxz-)2 という配列をもち、抗腫瘍活性を
示すことが知られている。我々はASC 分子内の一方のIle 残基
をGly(GASC)、Ala(AASC)、Val(VASC)、Leu(LASC)、Phe(PASC)、
Aib(AibASC)に置換し、対称性を崩した誘導体を合成し構造活
性相関について検討してきた.その結果、非対称の程度により
分子が開いた”square form”と分子が折り畳まれた”folded
form”の2 種類のコンフォメーションをとることを明らかにし
た.そして活性との相関としては、”square form”の方が活
性型コンフォメーションであるという傾向が示唆された.しか
しPASC は”folded form”をとっていたが、天然型ASC と同等
の活性を有していた.そこでPhe の芳香性が欠如した
Cyclohexyl-alanine(Cha)に置換した誘導体ChaASC と芳香性を
増したNaphthyl-alanine(Nap)に置換した誘導体NapASC を合成
し、X 線回折による結晶構造解析を行った.
29【P1】-I-208 ビスムチオールII のスルホン酸誘導体を固定化した陰イオン
交換樹脂を用いるタリウムの固相抽出/環境および生体試料中
の微量タリウムの黒鉛炉原子吸光分析〇青木洋之1,千熊正彦
2(1 阪府高専,2 大阪薬大) 【目的】我々は,ビスムチオー
ルII のスルホン酸誘導体(Bis- II S)を陰イオン交換樹脂に固
定化したキレート生成樹脂(Bis- II S 樹脂)を調製し,この樹
脂を用いてTl を固相抽出し,樹脂に吸着させたTl を黒鉛炉原
子吸光装置で直接測定するための条件を検討し,環境および生
体試料中の微量タリウムの定量に適用した. 【方法】Bis- II
S 樹脂の調製:既報の方法1) によって調製した.Tl を吸着さ
せたBis- II S 樹脂懸濁液の黒鉛炉原子吸光装置での測定方法
:pH 3 に調整した試料に50 mg のBis- II S 樹脂を加え,室
温で1 時間撹拌させTl を吸着させた後, 樹脂を分離し,これ
にマトリックス修飾剤として200 μg/ml の濃度のPd(II) 溶液
を5 ml 加えて懸濁液とし,この20 μl をマイクロピペッター
で黒鉛炉に直接導入して吸光度を測定し,Tl の定量値を得た.
29【P1】-I-217 o-ヒドロキシヒドロキノンフタレインと鉄(III)イオンを用い
るDNA の吸光光度定量法について 臣永宏、山口敬子、宮地加
奈子、森逸男、○藤田芳一(大阪薬大) 【目的】演者らは、
従来より、色素、金属イオン並びに被分析物質の三者間で生成
する三元錯体生成反応系を利用して、タンパク質、核酸塩基、
医薬品など数多くの生体機能物質を簡便、高感度に定量できる
分析法を構築している。今回は、生体機能物質としてデオキシ
リボ核酸(DNA)を取り上げ、本三元錯体生成反応系を利用する
DNA の簡便、高感度な吸光光度定量法の開発を目的として検討
した。 【実験方法】予備的検討の結果、使用する金属イオン
及び色素の組み合わせとしては、非イオン性界面活性剤共存
下、鉄(III)イオン{Fe(III)}及びo-ヒドロキシヒドロキノンフ
タレイン(QP)の組み合わせが色調差が大きく、感度の面で最適
であることを認めたので、以下、Fe(III)とQP を用いるDNA の
吸光光度定量法の最適条件…呈色時の液性、界面活性剤の種類
と濃度、Fe(III)及びQP の濃度、呈色体の安定性、加温温度と
時間の影響、添加順序、共存物質の影響など…を常法に従っ
て、種々検索した。
29【P1】-I-218 レゾルシノ−ルとアルデヒド類の縮合反応を利用するピロリン
酸の蛍光光度定量法について 太田早苗,○山口敬子,森逸男,
藤田芳一(大阪薬大) 【目的】生体中,環境中においてはリ
ン酸あるいはリン酸エステルを含有する多くの化合物がありそ
れらの微量分析法の構築が熱望されている。演者らは,先の年
会でピロリン酸存在下,レゾルシノ−ルとの縮合反応を利用す
るアルデヒド類の蛍光光度定量法を報告した。今回は,レゾル
シノ−ルとアルデヒド類の縮合反応を利用するピロリン酸の蛍
光光度定量法の開発を目的として実験を行なった。 【方法】
ピロリン酸定量時に際して,レゾルシノ−ルとの縮合反応に用
いるアルデヒドを種々検討した。その結果,ブチルアルデヒ
ド,アクロレイン,プロピオンアルデヒド,ノニルアルデヒ
ド,クロトンアルデヒド,吉草酸アルデヒド,アニスアルデヒ
ド,バニリン,ホルミル安息香酸,ジメチルアミノベンズアル
デヒド,シンナムアルデヒド,フルフラ−ルなどのうち,プロ
ピオンアルデヒドが, レゾルシノ−ルとの縮合反応に際して
効率よく発蛍光体を生成し,感度の面で優れていることを認め
た。
29【P1】-I-257 大阪薬科大学附属薬局における疑義照会の状況とその分析 ○
大谷恵子1,鈴木由加1,片岡絵里子1, 高橋宏幸1,濱崎美佳1,田
口真里1, 角井義昌1,河原林進一郎1(1 大阪薬大薬) 【目的】
保険薬局において重要な業務のひとつに疑義照会業務がある。
この業務は薬剤師が調剤するにあたって医薬品の適正使用に関
わり、副作用の未然防止や医療費の削減などに貢献していく上
で必要不可欠の業務と位置づけられている。そこで当薬局にお
いて応需した処方せんに対して疑義照会を行った内容を検討、
整理したので報告する。
29【P2】-I-382 OK-432 によるマクロファージ活性化増強作用における作用機
作の検討 ○中村玲子, 天野富美夫, 馬場きみ江(大阪薬大) -
2 - 2 【目的】A 群3 型溶連菌Su 株の凍結乾燥製剤である
OK-432 はリンパ球、マクロファージ(Mφ)などの活性化、種々
のサイトカイン産生などを介した免疫賦活薬ないし生体応答調
節薬としての薬効が注目されている。しかし、作用機作の詳細
には未知の点が多いため、我々はMφ 細胞株と変異株を用い
て、Mφ 活性化に及ぼす影響を検討した。 【方法】実験は
J774.1 細胞株の親株JA-4 とCD14 の発現が低下したLPS 耐性
変異株LPS1916 を用いた。Mφ 活性化は細胞から遊離されるNO
とTNF-α産生を指標にした。IFN-γを加えた細胞にLPS、OK-432
あるいは大腸菌DNA を濃度を変化させて添加した。次に、これ
らの実験系にPolymyxin B またはjetPEI を加えてMφ 活性化
増強作用におけるこれらの薬剤の効果について比較検討を行っ
た。
29【P2】-I-527 ヒト繊維肉腫細胞に対するBidens pilosa 処理によるMatrix
Metalloproteinase 発現変化の検討 ○ 安藤まどか1,輪千浩
史1,瀬山義幸1,小林孝志2,草野源次郎3 (1 星薬大,2 千葉
大医,3 大阪薬大) 【目的】細胞外マトリックス分解酵素であ
るMatrix Metalloproteinase(MMP)は癌の増殖・転移、創傷治
癒など様々な組織代謝に関与していると考えられている。そこ
で本教室の研究にて創傷治癒効果が確認されているBidens
pilosa を細胞に処理し、MMP の発現変化についての検討を行っ
た。 【方法】ヒト繊維肉腫細胞に熱水抽出したBidens pilosa
を48 時間処理し、培養上清を採取した。上清中に放出された
MMP をSample としてGelatin Zymography を行い、検出した
MMP-2,9 のバンドを画像解析ソフトで定量化した。また、同様
に48 時間薬物処理したヒト繊維肉腫細胞からAGPC 法により全
RNA を抽出し、RT-PCR 法によってMMP-2,9 mRNA を増幅、検出
した。
29【P2】-I-528 Bidens pilosa に含まれる新規フラボノイドは線維芽細胞の増
殖を促進する ○山道晶子1 輪千浩史1 瀬山義幸1 小林孝志2
草野源次郎3 (1 星薬大2 千葉大医3 大阪薬大) 【目的】細
胞増殖による創傷治癒効果が報告されているビデンスピローサ
の細胞増殖促進作用に着目し、抽出物とそのフラクション(C、
D、D-1〜6)のヒト皮膚線維芽細胞に対する増殖作用を検討し
た。 【方法】培養細胞にビデンスピローサ抽出物あるいは各
フラクションを処理し、一定時間後の細胞数をCell Counting
Kit-8 で測定した。さらに、各種プロテインキナーゼ阻害剤を
用いて情報伝達についても検討した。また、コンフルエントま
で培養した細胞の一部をブルーチップで剥離してin vitro 創
傷治癒モデルを作成し、ビデンスピローサの細胞増殖作用と創
傷治癒効果を検討した。
29【P2】-I-550 難水溶性薬物の消化管吸収機構に及ぼす脂質分散系製剤の影響
○冨永諭1,岩永一範1,宮崎誠1,掛見正郎1,山下伸二2(大阪薬大
1,摂南大薬2) 【目的】難水溶性薬物は消化管からの吸収が悪
いことが多く、これを改善する目的で様々な脂質分散系経口投
与製剤の利用が試みられている。一般に難水溶性薬物は門脈よ
りもリンパを介して吸収されることが知られているが、その吸
収挙動を詳細に検討した例は少ない。そこで今回難水溶性薬物
であるプロプラノロール(PL)を脂質分散系製剤とした際の消化
管吸収後の挙動について検討を行った。 【方法】脂質分散系
製剤には基剤となる脂質を構成するトリグリセライド(TG)の脂
肪酸鎖長が異なる3 種類のエマルション製剤(Soybean
emulsion,Miglyol emulsion,Tributyrin emulsion)を選択し
た。吸収実験はWistar 系雄性ラットにemulsion 製剤とした薬
物を無麻酔非拘束下で経口投与し、経時的に頸静脈あるいは門
脈より採血した。
29【P2】-I-587 クラリスロマシンの肝細胞P-糖タンパク質に及ぼす影響 ○内
橋伸介1,西堀崇子1,廣谷芳彦1,田中一彦1,平田純生2,平
井みどり3(1大阪薬大,2仁真会白鷺病院,3 神戸薬大) 【背
景および目的】ジゴキシン(DX)のクラリスロマイシン(CAM)
併用による血中濃度の上昇には、CAM によるP-糖タンパク質
(P-gp)阻害作用の関与が考えられる。今回は特に、DX の胆
汁中排泄過程でのP-gp を介した相互作用に注目し、CAM の肝
毛細胆管P-gp に及ぼす影響について、正常ヒト肝細胞由来
Chang Liver 細胞を用いて検討を行った。 【方法】4 日、7
日、あるいは10 日間培養した細胞で、P-gp 蛍光基質ローダミ
ン123 (Rh123)を用いてP-gp の輸送活性を測定した。また、
細胞から抽出したmRNA を逆転写後、リアルタイムPCR で増幅
させ、P-gp mRNA 発現量の変化を観察した。さらに、Western
Blotting 法によりP-gp のタンパク発現量の変化を観察した。
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